LED照明の寿命は電源とチップの負担率
LEDチップの寿命
熱対策が出来ていれば、基本的に半導体は半永久です。
LED照明用チップの構造原理を簡単に説明すると
青色のLED素子が青く光り、その光を黄色の蛍光体で包み込み白色を発光しています。
紫外線素子やRGB蛍光体、RGB素子等も有りますが、基本的なLEDチップの構造で説明いたします。
LEDチップの仕様書を見てみると上記の様な図を見かける時が有ります。
単純にこの温度だと寿命が持ちませんよ。と言う事。
本来は使用場所によって環境温度が変わるので、寿命の差は出ます。これらは、LEDチップ製品毎に出されている仕様書です。 各製品により使用も異なりますし、ノンブランド製品ですとこの辺りが不透明なチップも多く出回っているようです。
また、温度が高くなると周辺の封止剤やケースの劣化が早くなり故障率が大幅にアップします。
大気中の硫黄対策が施されているか?
使用環境によっては、光速が著しく低下します。サンプル等では解らない部分です。
硫化水素対策も光束維持の為に必要な場合もあります。
実際に硫化水素対策を施した製品の要請が有る事からも使用場所によっては必要な性能の一つだと思います。
回路の寿命
チップが長持ちするようになっても、電源回路の寿命が来てしまう。
特にコンデンサーの寿命は、温度に比例しています。
多くのLED照明が4万時間と謳っているのは、この回路の寿命の事です。
コンデンサの確認をしてください。
また、電源回路は寿命だけでは無く事故や問題点(漏電、チラツキ、電磁波)にも繋がります。
LED照明は多くの部品の集まりです。コスト削減の為に安い回路を使用している=寿命、事故、欠陥の可能性大。
チップも、回路も製品を見ても見えません。ですのでデーターやコダワリがある製造を心がけているメーカーを選ぶと間違えは少ないと想います。
LEDチップの種類
半導体自体の寿命は永久ですが、LEDチップは熱に弱いと言う性質が有ります。
LED素子を封印する蛍光体が熱により曇るのです。
LED照明の寿命は、この熱対策が出来ているか、いないかで大きく差が出ます。
明るさを求め、電流を上げれば熱が出てしまう。
寿命と品質は同じ内容が多く含まれますので品質もご覧ください。
高品質な製品は寿命も長くなります。基本的な考え方ですよね。
一昔前に主流なのが、「マルチチップ」と呼ばれる作り方です。
これは、一つのチップで複数の素子を点灯させる方式。3in1・2in1等とも呼ばれています。
この方式ですと、チップに多くの負担がかかり、また発熱も多く(素子を複数使用のため)なりますので、寿命に影響します。
2009年初頭、全てのLED蛍光灯は「マルチチップ」です。LED蛍光灯の初期モデルには砲弾型チップを使用している製品が殆どでした。
そう言えばホントの初期は砲弾型チップのLED蛍光灯も見かけました。最近では殆ど目にする事は有りませんが。
砲弾型LEDは光が直進的に出ますので懐中電灯などには向いています。
しかし、照明用となると光が隅々まで届かないので不向きかと思います。
初期の頃、LED照明をご覧になっていた方は、この砲弾型チップを見て「LEDは暗い」と言っていた時代の話です。
2015年現在では、発光効率がかなり上がりまして、190lm/w (ルーメンパーワット)の製品もちらほら見かけます。
実験室では300lm/w程度まで出ているようですので、LED照明ロードマップより進んでいるようです。
最近多く見かけるCOB
最近の製品はCOBタイプのLEDを使用しているケースを多く見かけます。
マルチシャドウが出ないとかと言って販売しているタイプです。製造が安く済むようです。
COBの否定はしませんが、寿命の項目として何点か気に成る点を
- 素子が密集して居る為、中心部の熱処理が出来ているか?
- 同様に面積が広いので熱伝導出来ているか?上記と合わせてサーモグラフィーで確認したい点である。
- 大きなケースに入れる為、振動に弱い。振動検査はしているか?
LED照明として熱対策
LEDチップの熱は基盤に伝わり基盤から放熱部品へと熱伝導して放熱します。
すなわちこの間、隙間とか熱伝導を邪魔する構造であってはいけません。
p以前拝見した直管型はアルミのヒートシンク(放熱部品)にスライドさせて基盤を挿入していました。これではチップの熱が放熱部品に伝わりません。
LEDチップは必ず多かれ少なかれの熱が出ます。その熱が基盤に伝わり基盤が反る可能性が有ります。その対策としてヒートシンクにしっかりと取り付けていなければなりません。
熱伝導両面テープ等で止めていますが劣化で剥がれる可能性もあり、理想はネジ止めです。
実際組み立て時のネジ止め一つ見ても、締める順番、締める力、最終的な加減等でヒートシンクの熱に個体差が出ます。この辺りを分析すると組み立て時にどれだけ気を使って製品を組み立てているか?に繋がると思います。
下のグラフは、LEDチップの寿命と熱の関係を表したグラフです。
横目盛りが熱。たて目盛りが寿命の時間。LEDが熱に弱い事は一目瞭然です。 2007年頃のデーターです。現在は蛍光体の素材の開発で熱に強いチップも出始めています。
日亜工業(株)調べ
ジャンクション温度35度で50,000時間80度だと8,000時間の寿命とと成りますので、いかに寿命と熱が密接な関係なのかが、良く解ります。
手で触って「熱い」製品は寿命が期待できません。
照明技術を生かして新型コロナ対策
紫外線を使用した殺菌灯を配光シミュレーションして殺菌装置を作りました。